【レビュー】新版 動的平衡: 生命はなぜそこに宿るのか

年齢を重ねると時間が早く進むのだろうか?

 

人は年齢を重ねると、一年が過ぎるのを早く感じるという。僕も本当にそう感じる。現に今、5月14日だが『もう5月も半分終わってしまったのか』と感じながら日々を送っている。
いや、本当に時間というのは年齢を重ねると早く進むのか?そんな訳はない。時間は子供も大人にも平等に与えられた唯一のリソースであり条件である。ではなぜ、子供の頃は一年が遅く感じて、大人になると早く感じるのだろうか。筆者はこんな仮説を立てる。要約すると、

「全ては体内時間で説明できます。体内時間は人間の代謝に関係していて、代謝は年令を重ねるほど低くなります。代謝が低いということは、細胞が生まれ変わるスピードが遅いということです。自分の体内時間である代謝の細胞が入れ替わるスピードが遅くなっている=自分の体内時間が遅くなっている。周りの時間軸のスピードに比べて体内時間が遅いので時間が過ぎるのが早いと感じてしまうためです」(要約です)

なんという明快なロジック、この問題にこんなにわかりやすく応えたテキストを僕は初めて読んだ気がする。

ところでタイトルの「動的平衡」について。

ひとつ明確なのは、生物は作ることよりも壊すことの活動をより多くしているということである。食物はエネルギー源として燃やされる部分もあるが、タンパク質は私達の体を作るために、もっというと作り直すために摂取される。人の体の細胞は部位によっても違うが、消化管の細胞などは2,3日で作り変えられる。3日も経つと別人になっているわけである。生命は絶え間ない分子レベルの入れ替わりの中で並行を保っている。これが筆者の言うところで動的平衡なのだという。

人は自身の体を壊しながら作り直し、その絶え間ない活動の中で並行を保っている。壊すために作る。壊しながら作る。作り続けることは出来ない。壊さないと作れないからである。

そう考えると事業なども同じで、作り上げたものを維持するようになれば、それは終わりの始まりだとよく言われる。常に新しいものを提供するために今を壊し続けるものだけが生き残る。数百年変わらずに続けている会社は看板を変えないだけで、中身は全て新しいということもよくある。人の体も見えている表面上は変わってなくても、細胞レベルでは全て入れ替わっている。生命も事業も、最先端レベルでは、壊し続けているのだ。

動的平衡を読んだら、前作の「生物と無生物のあいだ」も面白いですよ!

 

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